フランスワインで乾杯した済州島の夜

執筆者:西川恵2004年9月号

 韓国のリゾート地・済州島で七月二十一、二十二日の両日、小泉首相と盧武鉉大統領の日韓首脳会談が行なわれた。 両首脳はノーネクタイの打ち解けた雰囲気で会談し、屋外で共同記者会見をもった。「白い雲と青い海。素晴らしい環境で率直に会談できたことをうれしく思います」と小泉首相が言うと、盧武鉉大統領は「本日は最高のお客さんに来てもらいました」と応じた。 会談の主要テーマは北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議で、両国は同協議で日米韓の連携を図っていくことを確認。また日本側は来年三月から九月まで「愛・地球博」(愛知万博)の期間中、韓国人観光客の短期滞在ビザ(査証)を免除し、結果によって恒久的なビザ免除を検討する意向を明らかにした。その夜の饗宴メニューである。 魚介の韓国風クレープ包み 海草入りウニ粥 済州産赤甘鯛の蒸し煮 宮中神仙爐 生人参と叩きカルビ焼き 御飯と魚スープ 済州産マンゴー 五味子茶、三色団子 シャブリ99年 シャトー・トロプロン・モンド98年 一見して、済州島の産物を使った格式張らない料理であることが分かる。興味深いのは、外国首脳が訪韓した時の歓迎宴は、韓国料理に韓国産ワインと決まっているのに、今回はフランスワインを出したことだ。白ワインはシャブリ地方の格付け二番手。赤ワインはボルドー地方でも濃厚な味のサンテミリヨン地区の、これも格付け二番手。高いレベルである。

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