大統領はソファで眠る

執筆者:名越健郎2004年9月号

「感傷的で、気ままで、退屈」――。クリントン前米大統領の話題の回想録『マイライフ』について、ニューヨーク・タイムズ紙は辛口の評価を下したが、初版150万部はすぐに売り切れ、増刷が続いている。 分厚い自伝で最も注目された部分は、「モニカ・ゲート」こと、元ホワイトハウス実習生、モニカ・ルインスキーさんとの不倫事件だった。クリントン時代の8年間は冷戦後の国際的安定と好景気に恵まれ、比較的問題の少なかった時代。それが逆に、大統領の不倫を必要以上にクローズアップさせ、クリントン氏にとっては不運だった。 クリントン氏が回想録で、「不倫告白後、わたしはリビングルームのソファで寝ることになり、それは2カ月以上続いた」と告白した。 これを読んだ読者の感想――。「クリントンがヒラリーと寝室を共にしていたことの方が驚きだ」 問「クリントン氏が回想録を957ページも書いたのはなぜか」 答「彼は任期中も太めを好んだ」 クリントン氏が著書サイン会であいさつした。「この本はわたしのオーラル・ヒストリーだ。わたしのことをよく知らない人にも読んでもらいたい。……ヒラリーにもだ」 クリントン氏が回想録で、不倫の背景について、「およそ考えられる最悪の理由でやってしまった。ただ単に、それが可能だったからだ」と書いているのを読んで、ルインスキーさんが激怒した。

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