辛亥革命100周年と孫文孫娘の交通事故

執筆者:野嶋剛2011年1月3日

新年好!明けましておめでとうございます。

今年の「中国の部屋」は昨年から続いている「戦略的辺境」の(下)はちょっと休みまして、別の話題からスタートします。

いま米国のサンフランシスコにいます。近くにあるスタンフォード大学のフーバー研究所に保管されている蔣介石日記の閲覧のためです。元旦にサンフランシスコのチャイナタウンに食事に行くと、孫文記念館で地元華人による「辛亥革命100周年記念元旦パーティー」があったので、素知らぬ顔で会場に紛れ込んでみました。すると、会場での話題は「孫文の孫娘が元旦に台湾で交通事故に遭って危篤状態になった」というニュースに集中していました。時差のある台湾の元旦に起きた事故が、米国には元旦の朝に伝わったのです。私もその場で初めて知ったのですが、米国の華字紙「世界日報」を読むと、詳しい情報が掲載されていました。

孫文の孫娘は孫穂芬さんで1938年生まれ。革命だけでなく、恋愛にも情熱を献げた孫文が愛人に産ませた子供の娘とされます。8歳で誘拐に遭い、17歳で台湾史上最年少の「空姐」(スチュワーデス)に合格。40歳で米国の外交官試験に合格し、上海や広州で勤務をし、米国務省退職後は香港の企業経営に携わってきました。祖父顔負けの波瀾万丈の人生です。台湾には、現在開催中の「花博」のために立ち寄っていたそうで、現時点で生命の危機は脱したとの報道もありますが、内臓に重大な損傷があり、一時は生命を危ぶまれました。孫穂芬さんは高齢なだけに事故のダメージからの回復には時間がかかるでしょう。

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