次期共和党全国委員会(RNC)委員長の課題

執筆者:足立正彦2011年1月17日

 共和党全国委員会(RNC)の冬季会合が開催された今月14日、次期RNC委員長選挙が168名のRNC委員より行われた。当選には過半数の85名のRNC委員の支持が必要であったが、合計5名が出馬し、7度にも及ぶ票決の結果、次期RNC委員長に共和党ウィスコンシン州委員長のラインス・プリーバスが選出された。プリ―バスは、2012年大統領選の資金集めや選挙戦の差配をすることになる。現職のマイケル・スティールRNC委員長は4度目の票決後にRNC委員長選挙から撤退し、ディック・チェイニー前副大統領やエド・ガレスピー元RNC委員長らが推挙するマリア・チノ元運輸長官代行の支持に回ったが、最終的にRNC委員長選挙を制したのはプリーバスであった。スティールは昨年11月に実施された中間選挙での共和党の歴史的勝利を自らの実績の一つとして挙げつつRNC委員長再選を目指した。だが、指導力不足やRNCが抱える約2000万ドルの借入金、あるいは政治資金調達手腕等について党内から厳しい批判に晒され、僅か1期2年限りでRNC委員長職を退任することになった。

 今回のRNC委員長選挙について二点で共和党内の変化が浮き彫りになった。第一点目としては、党内での保守派の影響力の増大がRNC委員長選挙でも明確に反映された点である。共和党が二年前にRNC委員長に選出したのは元メリーランド州副知事でアフリカ系米国人の中道派スティールであった。バラク・オバマ大統領の就任に合わせるかたちで共和党が初のアフリカ系米国人を次期RNC委員長に選出した背景には、初のアフリカ系米国人の大統領であるオバマに対抗する目的で、圧倒的に白人優位の共和党に新たな動きが芽生えていることを有権者に訴える狙いがあったと考えられる。オバマ大統領就任直後の2009年1月に、米議会上下両院合同会議で行われたオバマ大統領の施政方針演説に対する共和党の対抗演説に起用されたのも、インド系米国人のボビー・ジンダル・ルイジアナ州知事であった。プリーバスは、共和党州知事会(RGA)会長を務め、2012年共和党大統領候補の一人としてその動向が注目されているヘイリー・バーバー・ミシシッピー州知事の甥で、同州選出RNC委員であるヘンリー・バーバーやインディアナ州等の選出で、党内で影響力を持つ保守派RNC委員の支持も次々に取り付けたが、保守派に軸足が移行するかたちでプリーバスが選出されている。

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