アフリカで世界一深い穴に潜る日本の男たち
2011年1月18日
アフリカ大陸では、地震は極めて稀です。世界の地震発生地域を示した地図を見ると、大陸の東側を南北に走るアフリカ大地溝帯の周辺で多少の有感地震が観測されていますが、日本と比べれば、その数は比較にならないほど少ない。大陸の他の地域では地震はほとんど観測されません。つまり、アフリカ人の大半は地震というものを知りません。南アフリカで暮らしていた4年間を振り返っても、自分の足元が揺れた記憶は皆無です。
ところが、そんな地震とは縁のない南アは現在、地震研究の大事なフィールドになっています。研究の主役は、世界最高の研究水準を誇る日本の地震学者たちです。
南ア最大の都市ヨハネスブルクは、1880年代に金鉱が発見されたことを機に成立した都市です。市街地の南側には、採掘時に生じた土砂を積み上げた「マイン・ダンプ」と呼ばれる人工の山が多数存在します。
ある時、私はヨハネス中心部から南西約65キロのカールトンビルという小さな町のムポネンという名の金鉱に、取材のために入りました。案内して下さったのは、日本からやって来た東京大学地震研究所の中谷正生助手(現准教授)。立命館大学理工学部の小笠原宏教授らとともに、南アの金鉱で地震発生のメカニズムについて調査を続けている地震研究者です。
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