共和党の将来を担う若手保守政治家三人衆

執筆者:足立正彦2011年1月24日

 第112議会が開会した直後の今月8日、アリゾナ州トゥーソンでガブリエル・ギフォーズ下院議員らを銃撃する悲惨な事件が発生し、米議会での法案審議が先送りされる事となったが、今月21日にはギフォーズ議員は幸いなことにトゥーソンの病院からテキサス州ヒューストンのリハビリ施設に移送されるまで回復してきている。

 第112議会では共和党が下院で4年ぶりに多数党の立場に復帰した。上院では民主党が引き続き過半数の議席を維持しているため、オバマ民主党政権や民主党主導の上院と対峙する点で下院共和党の責任や役割は一層重要となっている。下院共和党指導部については第61代下院議長に就任したジョン・ベイナー(オハイオ州第8区選出)に大きな注目が集まっている。だが、将来の共和党の進むべき方向性を考えると、61才のベイナーとは世代的にも対極にあるエリック・カンター下院共和党院内総務(ヴァージニア州第7区選出)、ケビン・マッカーシー下院共和党院内幹事(カリフォルニア州第22区選出)、ポール・ライアン下院予算委員会委員長(ウィスコンシン州第1区選出)の三人の若手保守政治家の役割が非常に重要になると考えられる。

 下院共和党ナンバー2のカンター下院共和党院内総務は47才の若さであり、2001年から下院議員の立場にあり、下院議員三年目の第108議会(2003年1 月~2005年1月)で下院共和党院内幹事代理に抜擢され、院内幹事を経て下院共和党指導部の一人として今日まで着実に歩んできた政治家である。マッカーシー下院共和党院内幹事は、現在、45才であり、2007年から下院議員に就任したが、選挙戦略の立案や人材発掘に優れた能力を持つ同議員を下院議員二年目に自らの「右腕」となる下院共和党院内幹事代理筆頭補佐に抜擢したのがカンターであった。ライアン下院予算委員会委員長は弱冠40才ながら3人の中では最も下院議員歴が長く、28才だった1999年から下院議員の立場にある。ライアンは20代半ばで、当時、ワシントンD.C.にあった共和党寄りの保守系シンクタンク「エンパワー・アメリカ」で経済アナリストを務めており、1996年大統領選挙では同シンクタンクに所属していたジャック・ケンプ共和党副大統領候補のスタッフをしていた経歴がある。予算、税制、医療保険制度改革、既得権益プログラム等の問題についてライアンは党内でも屈指の政策通として知られている。

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