ボコ・ハラム

執筆者:白戸圭一2011年2月8日

 昨年12月24日、つまりクリスマスイブに、ナイジェリア中部プラトー州の州都ジョス市内で爆弾テロが発生しました。爆発はキリスト教徒が多く集まる屋外市場など7カ所で発生し、少なくとも80人が死亡したと伝えられています。

 同じ日、やはりナイジェリアの北東部に位置するボルノ州のマイドゥグリでキリスト教会が襲撃され、牧師ら6人が殺害されました。その一週間後の大晦日、今度は首都アブジャの市場で爆発があり、4人が死亡しました。

 クリスマスイブの爆発と教会襲撃で犯行声明を出したのは、「ボコ・ハラム」という組織です。「ボコ」はナイジェリア北部で話されているハウサ語で「西洋の知」「西洋の教育」などを意味し、「ハラム」はアラビア語で「禁忌」を意味します。ボコ・ハラームはその名の通り「西洋の知」を拒否する組織です。

 ナイジェリアは36州から成る連邦国家ですが、このうち北部の12州でシャリーア(イスラム法)が施行されています。ボコ・ハラムは、全州でのシャリーア導入、すなわちナイジェリアのイスラム化を主張しています。

 ボコ・ハラームについていろいろ情報を集めてみましたが、謎の多い組織です。いま私が分かる限りの情報を並べてみると、結成は2002年という説と2004年ごろという説があり、活動の拠点はイスラム教が優勢な北部ボルノ州の都市マイドゥグリです。イスラム原理主義的なその主張ゆえに、地元では「タリバン」と呼ばれていましたが、アフガニスタンのタリバンと接点はなく、イスラム教が優勢な北部5州に活動域を広げながら武装化を進めたとみられています。

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