フランス極右政党の不気味な足音

執筆者:渡邊啓貴2011年2月9日
国民戦線創設者のルペン氏(右)と3女のマリーヌ新党首 (C)AFP=時事
国民戦線創設者のルペン氏(右)と3女のマリーヌ新党首 (C)AFP=時事

 この1月16日、フランス中西部トゥールで開催されたフランスの極右政党「国民戦線(FN)」の第14回党大会で、同党創設者の3女であるマリーヌ・ルペン副党首(42歳)が3分の2以上の得票率をえて圧倒的勝利を収め、新党首に就任した。マリーヌは2回の離婚歴があるシングルマザーである。  今回の党首選挙は、1972年来FNを率いてきた、同党創設者ジャン・マリー・ルペン党首の昨年11月の正式な引退発表を受けてのことであった。マリーヌの勝利は彼女が父親の支援もあって、早くから世襲のための活動を始めていたことが最大の要因である。またマスメディアへの露出度も他の候補者を圧倒していた。昨年12月9日、党首選挙投票権獲得のための入党申し込み締め切り直前に放映されたフランス2の「判断するのはあなただ」というテレビ番組終了直後の数時間で2500名の入党申し込みが殺到したが、ほとんどがマリーヌを支持する人々であった。  若い頃は身体もふくよかで、父親張りの激しいアクションと大きな声での早口で論敵を圧倒しようという姿勢が彼女に攻撃的なイメージを与えたが、最近では痩せてルックスにも女性らしい柔らかな雰囲気が出てきた。前党首を支えてきた日本人妻をもつもう1人の有力候補、ゴルニッシュ副党首は惨敗した。

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