11日付の日本経済新聞がブッシュ前米大統領とのインタビューを掲載した。その中のニュースは、プーチン氏が「会うたびに変わり、ロシアも変わっていった」と強い不満を表明した、ということくらいかもしれない。雑誌時代の本誌2008年10月号「インテリジェンス・ナウ ブッシュ大統領の”教育”にはなから失敗したCIA」を読んでいただくと、その理由が推測できる。

 2001年2月8~10日、プーチン氏(当時大統領)がオーストリアの首都ウィーンのホテル・インペリアルに滞在するのに先立ち、ホテル貴賓室に仕掛けられたCIA(米中央情報局)の盗聴器のバッテリーを取り替えて、再作動させましょうか、とCIAが就任早々のブッシュ大統領に進言した。しかし、ブッシュ氏は「友人を盗聴するなんてことはしない」と答え、反対したというのだ。ジャーナリスト、ロン・サスキンド氏の「ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド」にそんな秘話が書かれている。

 ブッシュ氏もライス補佐官も、発見されるリスクを恐れたという。しかしCIAは、万一ばれても、プーチン氏は逆に「ブッシュ氏を尊敬するだろう」と考えていた。ホテルの貴賓室にCIAの盗聴器が仕掛けられていることなど、ソ連時代のKGB(国家保安委員会)が既に知っていた可能性が十分ある。

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