次はパキスタン?

執筆者:春名幹男2011年2月27日

 「領事館員」というのは真っ赤な嘘で、本当は米中央情報局(CIA)の契約スパイだった。今年1月、パキスタン・ラホールで起きた殺人事件で逮捕されたレイモンド・デービス容疑者(36)のことである。

 交差点で信号待ちをしていた際、「賊に襲われそうになったので銃を発射した」という言い訳をしていたが、本当は2人のパキスタン人を背後から3、4発の銃弾を発射するという過剰すぎる防衛だった。オバマ大統領は最初、逮捕されたのは外交官と弁明していたが、米メディアにすっぱ抜かれて嘘がばれた。デービス容疑者が滞在していたラホール市内の「隠れ家」には1人のCIA工作員と本人を含めて6人の「契約スパイ」が配置され、テロ容疑者の捜索工作をしていた。彼は元米軍特殊部隊員だ。

 CIAはパキスタン北西部の連邦部族直轄区域にあるタリバンのアジトなどに対して無人偵察機を使った攻撃を繰り返し、誤爆で罪のない一般市民の死傷事件が続発。CIAの秘密工作を容認するザルダリ政権に対する批判が高まっている。

 ちょうど同じことがイエメンで起きているが、パキスタンでも反政府運動がさらに高まれば、米国は厳しい立場に立たされる。

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