いま私たちがやるべきこと

執筆者:平野克己2011年3月15日

 この未曽有の大地震が日本を襲ったとき、私はケニアのナイロビにいた。第一報を大使館員から聞き、CNNを観て、航空会社にフライトの確認をとったうえ日本に向けて出発した。ナイロビ空港まで見送ってくれた大使館員が「現地メディアの問い合わせに答えようがない」というので、「日本にも多くのケニア人がいる。安否を気遣う家族の不安に応じるのは日本大使館の義務だ。本省から指示がくるから待っていなさい」と言い置いた。実際、日本にいる外国人アスリートでもっとも多いのはケニア人だと言われている。

 帰国してから日本のテレビで東北の惨状を見、息が止まった。いったい日本はどれだけの人間を失い、どれだけの人生がぶっつりと途絶えたのだろう。皆さんもたいへんな思いをされていることと推察する。
 こういうときにこそ国力が問われる。各人の格が問われる。気象庁は震度5級の余震が、高い確率で再びわが国を襲うと予測している。さらなる苦難に耐える緊張をもって現状と戦わなくてはならない。「なにが起こりうるか」をつねに予測しながら、目の前の仕事に取り組む必要がある。
 現段階で3000人の死亡が確認され、50万人の避難民がいる。まずはどうやって遺体を収容するか、避難所にいる人々に生活物資を供給するかを考えよう。海外ではいま福島原発の話題が圧倒的だが、専門家を信じたいと思う。ほかのことはそれからだし、ましてや人を非難している場合ではなかろう。

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