軍事的偵察行動とそれへの反応

執筆者:2011年4月11日

 日本が大震災に見舞われ、悲しく深刻な最悪事態に対処する最中、ロシアは日本海において軍事活動を行った。

 3月17日、ロシアのイリューシン20型電子偵察機1機が、昼間約3時間にわたり日本海側本州に接近飛行した。これに対して、航空自衛隊は戦闘機を緊急発進させ、レーダーと併せた監視を行った。続けて3月21日、日本海を飛行していたロシアのスホーイ27型戦闘機2機が、日本領空に侵入する気配を見せたため、航空自衛隊は戦闘機を緊急発進させ、その行動を監視した。そのスホーイ27は、領空の約60キロ先まで接近し、その後北方に飛び去った。これについて防衛省は、「ロシアの戦闘機に対するスクランブルは異例であり、目的などについて分析している」と報道発表した。

 これらの行動(アクション)と反応(リアクション)について二点指摘したい。

 一つは、「異例ではない」ということだ。

 第四世代戦闘機の性能は、マッハ2(音速の2倍)の高速戦闘、5万フィート(富士山の5倍の高さ)に達する高空での空中戦を可能にした。したがって、航空侵攻に対する迎撃の空域は、訓練時でさえ、極めて広域な三次元空間となる。沿海州沖空域において、スホーイ27がロシアの立場から迎撃訓練すると、簡単に日本の防空識別圏に接近または侵入してしまう。1976年、沿海州沖で訓練中のミグ25型戦闘機が函館空港に着陸し、ソ連空軍ベレンコ中尉が亡命した。その当時でさえ、高性能戦闘機の領空侵犯への対応措置として、地上待機からの緊急発進では間に合わないという問題指摘があった。たとえ日本領空への接近あるいは侵犯が偶発的な過失であったとしても、日本国は毅然としてこれに対処し、主権に対する侵害を許さない姿勢を目に見せて堅持しなければならない。航空自衛隊は常時対応に備える任務にあり、戦闘機に対するスクランブルも「異例ではない」。

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