日本の地震へ中華圏の世論が変わった

執筆者:野嶋剛2011年4月14日

大震災をめぐり、中華圏の対日世論が、やや風向きを変えつつあるようです。

震災直後の反応は、基本的に暖かいものでした。

困難の中でも冷静かつ秩序だって行動する日本人の国民性が驚きをもって肯定的に受け止められ、圧倒的な同情を集め、義援金の一大ムーブメントが起きました。

東アジアでは近年、中国の四川大地震、インドネシアのスマトラ沖地震、台湾の台湾大地震など、ここ10年で大型地震で被災した国も多く、他人事ではなかったのでしょう。

その同情とサポート中心だった流れが変わり始めたのは発生から2週間すぎても、一向に福島原発の問題を解決できない日本政府や東京電力への疑問でした。そのうち、放射能の問題が次第に深刻化し、どの国も自分の土地に被害が及ぶ可能性も出てきて、次第に厳しい視線が出始めました。

特に姿が見えない東京電力社長については「人間蒸発」とトップの見出しで書いた台湾の新聞がありました。菅首相については、中国ではすっかり悪者扱いで、それに比べて我らの胡錦濤、温家宝コンビは素晴らしいなんて議論も出ています。

これが決定的になったのが、放射能汚染水の海への放出でした。これで、各国政府の抗議だけでなく、世論にも決定的に反発が広がってしまった。本当にまずかったと思います。

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