ビン・ラディンのレポ役割り出しが決め手に

執筆者:春名幹男2011年5月2日

 1日、交戦の末、仇敵オサマ・ビン・ラディン容疑者を殺害した米特殊部隊。中央情報局(CIA)の追跡工作でビン・ラディンが信頼するレポ役を割り出したことが決め手となった。
オバマ政権にとって久々の快挙となったこのニュース。米政府当局者が得意げに米大手紙記者にバックグラウンドブリーフィングしている姿が目に浮かぶようだ。
ビン・ラディンは外部との通信手段を一切断絶しており、電話などの探知では足取りが掴めないことは分かっていた。このレポ役の本名と、9・11テロ事件の作戦首謀者ハリド・シェイク・モハメドの信頼する部下であることがCIAによって確認されたのは4年前のこと。さらに2年前、この男が住んでいるパキスタン国内の地域を割り出すことができたという。
そして昨年8月、その屋敷がイスラマバードの北約100キロのアボッタバードであることが分かり、CIA要員が現場を見て驚いたという。竣工2005年で推定価格100万ドル(約8、100万円)とみられ、3階建て、高さ3・5~5・5もの塀に囲まれているが、インターネットも電話も引かれていないという異常な豪邸だった。
オバマ大統領は2月の段階で、「4月29日朝軍事行動を」という最終的な命令を下したという。それまで国家安全保障会議(NSC)は5回もの会議を開いた。そして、クリントン政権以降何度も取り逃がしていたビン・ラディンをついに捕捉した。
昨年秋以来、オバマ政権は無人偵察機によるパキスタン北西部攻撃を強化していた。また、グアンタナモ基地の閉鎖という公約を撤回した裏には、ビン・ラディン追及を急ぐ狙いがあったとみられる。その間、グアンタナモ基地内に拘束されているテロ組織アル・カエダ構成員らの「レポ役」に関する事情聴取を強化したと言われる。
 

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。