多目的母艦の整備

執筆者:2011年5月25日

 先の東日本大震災では、警察と消防、そして内外のボランティアや米軍による救援活動に加えて、10万人態勢で臨んだ自衛隊の救援行動が注目を集め高く評価されている。陸海空を統合した救援任務部隊の編成は自衛隊史上で初めてであり、組織の壁を越えて統合的に救援作戦が遂行されたのは画期的と言える。

 震災により各地で道路が寸断され、陸路からの救援は難しさを極めたが、被災地に向けた海路および空路からの接近は、救助活動を行う上で威力を発揮した。それでも空路の場合は、航空機が着陸する地点などに制約があり、遍く有効な手段とはなりえないが、海岸線の近くに人口が集中する市街地に対しては、海路から接近する救援活動が例外なく大きな成果をもたらす。船首から船尾までを通した飛行甲板を備えた(全通甲板型)海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」および「しもきた」ならびに「くにさき」からは、エアクッション型揚陸艇LCAC(Land Craft Air Cushion)が、救援物資を搭載して被災地の海岸に上陸した。また、全通甲板型のヘリコプター護衛艦「ひゅうが」は、ヘリコプターを利用した救援物資輸送の中心となり、全通甲板型の各艦艇をネットワークする物流を支援した。

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