オバマ再選に立ちはだかる「経済・雇用問題」

執筆者:足立正彦2011年6月8日

 米労働省が今月3日に公表した最新の雇用統計が市場関係者の予測を大幅に下回り、米国の景気回復の減速感が一層鮮明となってきている。5月の非農業部門の新規就業者数は過去8ヶ月間で最も脆弱となり、前月比5万4000人の伸びにとどまった。また、5月の失業率も前月比0.1ポイント上昇して9.1%となり、2ヶ月連続での悪化となった。

 今月6日に公表されたWashington Post/ABC Newsの最新世論調査では、オサマ・ビンラディン殺害直後に9ポイント急上昇したオバマ大統領の支持率はもはや一過性のものとなり、「不支持」(49%)が「支持」(47%)を上回り、殺害以前の水準に戻った。ビンラディン殺害の効果は僅か1ヶ月余りで完全に消え失せてしまった。

 対照的に、オバマ政権の経済運営に関する有権者の視線は益々厳しくなっており、ガソリン価格の高騰、住宅価格の下落、失業率の高止まりにより景気回復のペースが大幅に減速しているとの悲観論が広がりつつある。同世論調査では66%が「米国は誤った方向に進んでいる」と回答し、89%が米国経済の現状を「ネガティブ」と回答している。とりわけ、オバマ大統領の経済運営については「不支持」が59%、「支持」が40%となり、政権発足以降最低水準となった。オバマ大統領の経済政策を「断固不支持」との回答は49%に達し、オバマ再選にとり重要な役割を担うと見られている無党派層の間でもオバマ大統領の経済運営への不支持が増大している。再選を目指すオバマにとって状況は厳しい。

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