菅首相の「脱原発」は本当に「脱原発」か

執筆者:野々山英一2011年7月8日
「脱原発」の中身が問われる菅首相 (C)時事
「脱原発」の中身が問われる菅首相 (C)時事

 7月6日の衆院予算委員会。松本龍復興担当相の辞任翌日の国会論戦は、菅直人首相の任命責任の追及に注目が集まっていた。  ところが、波乱は別のテーマの議論から起きた。九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働問題だ。  海江田万里経産相は6月18日に、定期検査が終わった原発は再稼働するよう促す「安全宣言」を行なった。29日には佐賀県に乗りこみ、古川康知事や岸本英雄玄海町長らと会談し「安全性は国が責任を持つ」と玄海原発の再稼働を要請している。古川知事は「首相の意向を確認したい」として菅首相との直接会談で受け入れるかどうか決める考えを示していた。  海江田氏は7月6日の予算委員会で、塩崎恭久氏(自民)から安全宣言を出した経緯を問われると「特に事前に(首相に)相談したことはない」と発言した。この答弁が正しければ再稼働の前提となる安全宣言が、首相も知らないところで決まったことになる。野党席からは「絵に描いたような内閣不一致だ」「統一見解を出せ」などのやじが飛び、委員会室は騒然となった。  事の重大さに気づいたのか、海江田氏は午後の質疑で「事前に首相には伝えていた」と修正した。本当に菅首相が「安全宣言」を知っていたのかどうかは分からない。ただ、はっきりしているのは菅首相が、玄海原発の再稼働問題で表に出るのを極端に避けているということだ。

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