技術で背伸びする中国

執筆者:フォーサイト編集部2011年8月2日

 菅首相夫妻が国会で号泣した海江田経産相を批判したそうです。この夫婦は一刻も早く首相公邸を立ち去るべきですが、海江田氏への批判は妥当なものでしょう。海江田氏はご自身を「上司に仕事を邪魔されるかわいそうな自分」、あるいは悲劇のヒーローとでも思っているのかもしれませんが、この人が実際にやっているのは経産官僚の口車に乗って、従来の原発政策を推し進めているだけです。被災者への補償の国民負担分を増大させる「東電救済法案」(原子力損害賠償支援機構法案、明日3日に成立予定)を遮二無二進めたのもその一環。変な勘違いをしないで、即刻辞めるべきです。

 本日の更新記事は、高村悟さんの「技術で背伸びする中国の焦り」です。世界第2位の経済大国になったとはいえ、これといった技術がない中国。営業速度で世界トップという実績を築き、中国の技術を世界にアピールする――。高速鉄道の事故は、そうした戦略が招いた悲劇でした。独自技術の開花がなければ、中国の成長は停滞します。「張り子の虎」状態からの脱却は成るのでしょうか。

 「専門家の部屋」では、2本の新エントリ。

 「20年も成長しない経済:日本とアフリカの共通点」(アフリカ):1981年から2002年までGDPがほとんど増えなかったアフリカ。1991年以来成長が停滞している日本。これだけの長い期間経済成長がないのは、世界でもまれな例です。その要因はそれぞれ違うのですが、共通しているのは貿易依存度の低さ。80年代のアフリカでは40%台、今の日本は30%。現在の日本経済は非常に内向きです。

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