日米安全保障協議委員会(SCC)「2+2会合」が、6月21日に米国ワシントンで開催された。それは、自公政権下の2007年5月1日以来4年余りを経ての開催であり、民主党政権となって初めてのことである。

 「2+2共同発表」には、非伝統的な安全保障への懸念を含め、脅威が多様化する情勢の下で、日米の良好な関係がアジア太平洋地域における安全保障の要諦であるという常套句が用いられている。掲げられた共通の戦略目標の達成に向けて、日米安全保障体制の中で双方の国がそれぞれの役割を果たすことを求めている。

 日本の役割については、過去のSCCにおいて幾度も協議され合意に至ってきた。今回もその確認がなされ、合意された役割に応じた日本の行動を促しているのは、米国の率直な気持ちである。特に沖縄をめぐる在日米軍および関連する自衛隊の再編については、2006年5月1日の「2+2承認」が基本であり、沖縄を含む地元の負担を軽減することを考慮しつつ、在日米軍のプレゼンスを強化し、安定した安全保障環境を効率的に維持しようとしている。

 そのような米国の考え方を日本は共有するものであったが、軍事的合理性の追求とその達成に必要な犠牲は最適化しえない、あるいは安全保障の世界観は市民の倫理観と対立するといった概念を招き入れることにより、民主党マニフェスト2009は「2+2承認」の撤回を明言するに至る。しかしながら、尖閣問題に象徴される沖縄周辺海域における緊張の高まりにより、自公政権との比較において、日米安全保障体制が弱体化しつつあるという危惧が生まれ、民主党政治は批判を浴びることになる。初めての「2+2会合」に臨んだ民主党は、防衛大臣によって「2+2承認」の「撤回の撤回」を確認した。

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