去る8月10日に、中国海軍最初の空母が大連から試験航海に出港した。この空母は、旧ソ連時代、ロシア海軍向けに「アドミラル・クズネツォフ」級空母の2番艦「ワリヤーグ」としてウクライナのニコライエフ南造船所で建造中であった。ところが、1992年に工事が約70%進行した状態で建造が中断され、1998年に中国がそれを購入して運用できるように改造した。

 中国が購入した時点では、軍事に供さないという見込みから、各種装備品はもちろんのこと、推進機関まで取り外され、船体のみ大連まで曳航された。しかし、2002年3月に大連到着後は、中国海軍の造船関係者をはじめ、あらゆる部門の技術者による調査が行なわれた。同時に、空母再生に向けての工事が開始され、7~8年にわたる作業を経て修復が完了し、練習空母(満載排水量58,500トン、全長304メートル)として出港に漕ぎ着けた。

 空母の運用では、当然のことながら最大の焦点は艦載機であるが、その前に、移動する洋上航空基地としての船体の完成度が問題となる。中国が空母として活用できたのは、14度の傾斜を持つスキー・ジャンプ甲板を艦首に設けた全通飛行甲板を有する船体だけで、蒸気タービンといった推進機関、レーダーや着艦誘導装置などの電子機器、あるいは個艦防御に必要な武器(近距離ミサイル、機関砲、ロケット弾発射機)などは全て中国国産品を装備したとされている。

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