中国の高級酒の値段が暴騰している

執筆者:野嶋剛2011年9月2日

先日、中国に行ったとき、デパートのお店の棚に誇らしげに「五糧液、入荷しました」という張り紙がしてありました。五糧液、飲んだことがある人もいるかと思います。中国の「国酒」として名高く、白酒のトップブランドです。

本当に中国の人は大好きで、特にいまごろの中秋節が近づくと贈り物にされるので市場で不足気味になって、入荷が待たれる状況になるようです。ほかにも「貴州茅台」=写真=とか、いろいろブランドはあります。ちなみに、庶民が飲むお安い白酒は「二锅头(二鍋頭)」が有名です。

いま、この高級白酒の値段がもうとんでもなく上がっていて、話題になっています。

五糧液は最近、価格の30%引き上げを発表しました。貴州茅台はもともと1瓶1000人民元(1万3000円)だったのが、いまは1500元前後で店頭で売られているそうです。中国の物価上昇はすごいですが、この高級白酒市場は常軌を逸しています。

背後にあるのは、中国の贈答文化です。

中国では高級酒の白酒について「喝的人不买,买的人不喝」だと言われます。「飲む人は買わない、買う人は飲まない」という意味です。贈り物として喜ばれるが、自分で買っては飲まないという状況で、実際、1瓶に1000元も出して飲もうとは普通の人は思いませんよね。その価格はすでに高級洋酒レベルで、それを凌ぎつつあります。それでもばんばん売れてしまうところが不思議ですが、企業や役所の贈答費から支出されるので、価格が上がっても売れ行きは落ちないのでしょうね。

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