“遠ざかる東南アジア”の今を直視する

執筆者:樋泉克夫2011年9月7日

 いま東南アジアは日本から遠ざかり、中国の裏庭化しつつある。

 1970年代後半に提唱された「福田ドクトリン」に象徴的にみられるように、東南アジアとの結びつきこそ国際社会における我が国の支えだった。80年代半ばのプラザ合意を機に急激に力を増した「円」は集中豪雨のようにASEAN諸国経済を潤し「成長のアジア」を導いた。

 だが90年代初期に日本でバブルが弾け、97年のアジア危機に足をすくわれ、東南アジアの経済成長が失速し、政治もまた激動する。その間隙を縫うかのように、中国の猛烈な“熱帯への進軍”がはじまった。

 いよいよ拡大する中国の存在感。対するに影響力低下を免れない日本――中国の野心的な動きに目を向けながら、変動する東南アジアの現実を見据えたい。

(樋泉克夫)

 

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