シリアを締め上げる欧米の経済制裁

執筆者:畑中美樹2011年9月7日

 欧米諸国によるシリアへの締めつけが強まっている。

 欧州連合(EU)は、9月2日、シリア産原油の輸入禁止など経済制裁の強化を発表し、翌3日から発効させた。新たな措置の内容は、1)シリア産原油及び石油製品の購入・輸入・輸送の禁止、2)アサド政権と関係のある4個人、3団体のEU域内の資産の凍結及びEU域内への渡航禁止の対象への追加、から成っている。

 シリア産原油・石油製品の約95%が欧州向けであることに加えて、石油収入がシリアの歳入の約25%を占めていることから、EUによる新たな石油禁止措置の導入は痛手になると予想される。例外措置を求めていたイタリアについては、2011年11月15日までシリア産原油の輸入が認められることとなった。ただし、今回の措置には外国企業による石油部門への投資の禁止措置は盛り込まれなかったことから、影響は限定的と見る向きもある。

 これに対して、ヌーランド米国務省報道官は9月3日、「EUによる新たな制裁は依然反体制デモを暴力により取り締まっているアサド政権に直接的な打撃を与える」と述べ、EUによる対シリア制裁の拡大を歓迎する姿勢を明らかにした。同時に、「米国はアサド政権を退陣に追い込むために、今後も政治・経済圧力を強化する」と語った。

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