経常利益や貸付残高で世界最大級の規模を持つ中国工商銀行(ICBC)が15日、インドでは初の支店をムンバイ市内に開設した。中国本土の銀行がインド国内に支店を開くのも初めてだという。ICBCでは、インドに進出する中国系企業だけでなく、中国から通信機器やインフラ資材などを輸入するインド企業に資金を貸しつけるコーポレート・バンキングに当面重点を置くが、将来的にはインド富裕層を狙ったプライベート・バンキングや投資銀行業務などにも進出したいとしている。
 印中の二国間貿易額は2010年度、目標を2年も前倒しして600億ドルの大台を達成しているが、実は印中間の相互企業進出による直接投資もようやく具体的案件が出始め、徐々にではあるが増加している。

 2011年に発表されたものだけでも、北汽福田汽車がインドでの商用車生産を決定、建機・重機大手の三一科技が印西部プネー近郊への工場建設を表明している。また同時期には中国のベアリング最大手ZWZが数年以内にインド国内に工場を建設するとの計画を明らかにしている。そして9月からは中国国際航空(エア・チャイナ)が北京―ムンバイ便を就航させたばかりだ。
 大型案件では昨年末、電気通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が5年間で計20億ドルの投資計画を発表。同じ年末には温家宝・中国首相がビジネス界幹部ら300人を伴って訪印し総額160億ドル規模の商談をまとめた。中国企業の投資計画にインド政府がいちゃもんをつけてOKを出さなかったり、申請そのものをたなざらしにしたり、「中国製通信機器にはスパイウェアが仕込まれている」として禁輸措置に踏み切ったりしたことがずっと昔の出来事のように思える。

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