パレスチナの国連加盟申請

執筆者:池内恵2011年9月17日

パレスチナ自治政府のアッバース大統領は16日、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラーマッラーで演説を行い、国連安保理に国連加盟申請を行うと宣言した。http://www.maannews.net/eng/ViewDetails.aspx?ID=420778

9月21日に始まる第66回の国連総会の一般討論の場で、アッバース大統領はまず意思表明を行い(おそらく23日)、その後、潘基文国連事務総長に加盟申請書を提出するものと見られる。

今年9月からの国連総会の会期でパレスチナ国家の国連加盟申請がなされることはかなり以前から明確になっていた(たとえばアッバースのニューヨーク・タイムズ5月16日付論説欄への寄稿http://www.nytimes.com/2011/05/17/opinion/17abbas.html)。国連加盟の可否という法的・形式的手続きそのものが、実質的な中東和平実現・パレスチナ国家設立にはつながりそうもないことも周知の事実である。その意味で、当事者や専門家にとっては、すべてが「歌舞伎」のような芝居になりかねないところであるが、かといって全く意味がないわけではない。これをきっかけにアラブ諸国で進む若者主体の抗議行動の性質が変わり排外主義に向かいかねないなど、中東情勢に不可測の流動化、変化をもたらしかねない。また、国際環境が極端に不利になると考えた場合、イスラエルはこれまでにない法的・政治的(あるいは可能性は低いが軍事的)な対処策を採用して打開しようとする可能性もある。

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