衆議院予算委員会で答弁のため挙手する野田首相(右)(C)時事
衆議院予算委員会で答弁のため挙手する野田首相(右)(C)時事

 東日本大震災が発生してから半年が経過した。震災復興をめぐっては平成23年度第1次補正予算(約4兆円)が5月2日に、第2次補正予算(約2兆円)が7月25日に成立している。  しかし、第1次補正はがれき処理など緊急の復旧策を中心としたものにすぎない。第2次補正も第1次補正から漏れたものを追加的に入れただけで、応急処置の域を出ない。このため、政府が10月中に国会に提出する予定の第3次補正予算案こそが、初めて本格的な復興事業費を盛り込んだ予算として期待されている。この第3次補正をめぐって、9月27日の参院予算委員会でこんなやりとりがあった。  世耕弘成・自民党幹事長代理「予算案は憲法上、内閣にのみ提出権が認められていますが、それを野党と事前協議するというのは異例だ。なぜ今、野党との協議を求めているのですか」  野田佳彦首相「東日本大震災からの復興……これは極めて大事で、1日も早く予算を成立させることがそれぞれの(復興)事業を迅速に遂行する上で必要です。そのためにも事前にお互いにある程度合意をしながら、予算案提出後には、なるべく速やかに成立を期す(後略)」  世耕氏の言う通り、憲法第73条には、「予算を作成して国会に提出すること」は内閣の「事務」であると明記されている。憲法を杓子定規に解釈すると、野田内閣は予算編成にあたって野党どころか与党とも相談する必要はない。にもかかわらず、事前に野党と相談しようとしている。これは9月2日に就任したばかりの野田首相が政権運営において今のところ安全運転に徹しているからである。

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