クリスティに対して強まる出馬要請圧力

執筆者:足立正彦2011年10月3日

 先月は共和党大統領候補討論会が3回行なわれた。各種世論調査で他候補を大きく引き離して優位に選挙キャンペーンを展開しつつあったリック・ペリー・テキサス州知事は、不法移民対策や社会保障政策に関する発言を巡り他候補から相次ぎ厳しい批判に晒される事態に陥った。大統領候補としての脆弱さや準備不足を露呈したペリーの討論パフォーマンスに失望した共和党系の大口政治資金提供者(ドナー)の間では、新たな候補の擁立を図ろうとする動きが現在顕在化している。

 共和党系の有力ドナーから共和党大統領候補指名獲得争いへの出馬を促されているのはニュージャージー州知事のクリス・クリスティだ。クリスティは2009年11月に行なわれたニュージャージー州知事選挙で現職のジョン・コーザインを破り、共和党州知事候補としては同州で実に12年ぶりに当選を果たした。州知事就任後は大胆な歳出削減に着手するとともに、州の教員組合との対立姿勢を鮮明にし、全米の共和党系有権者の注目を集める存在となった。

 クリスティ自身は共和党大統領候補指名獲得争いへの出馬について、その意図がないことを今まで何度も繰り返し表明してきた。また、実弟のトッド・クリスティも地元紙の取材に対し、兄が出馬しないと確信しているとしてクリスティの出馬の可能性を強く否定している。

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