比大統領を迎えた野田首相初めてのもてなし

執筆者:西川恵2011年10月12日
中国の海洋進出を牽制(c)時事
中国の海洋進出を牽制(c)時事

 野田佳彦首相が初めて迎えた外国首脳はフィリピンのベニグノ・アキノ大統領だった。  大統領は9月25日から28日まで日本に滞在し、この間、震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市を視察、在日フィリピン人と面会し、天皇陛下主催の昼食会にのぞむなど精力的に日程をこなした。  野田首相との会談は27日夕、首相官邸で行なわれた。両国は政治、安全保障分野などで「戦略的パートナーシップ」の強化を目指す共同声明を発表。中国の海洋進出を念頭において、海上安全確保を「共通の戦略的利益」と位置づけ、海上保安庁によるフィリピン沿岸警備隊の能力向上支援や、防衛当局間の交流促進を盛り込んだ。

ジュースと白ワインで乾杯

 会談後の午後7時過ぎ、官邸の広間で歓迎夕食会がもたれた。両国関係者合わせて28人。玄葉光一郎外相も同席した。
 
 オマール海老とキャヴィアのサラダ
 琥珀輝くダブルビーフコンソメ ロワイヤルと共に
 甘鯛のクルスティアン、五穀豊穣米のリゾット青海苔風味、金平掻き揚げと銀杏、牛蒡のエマルジョンソース
 コカコーラのグラニテ
 国産牛フィレ肉ブランシャ焼き 旬恵む松茸、焼胡麻豆腐と松笠慈姑(くわい)と百合根
 和栗のアイスモンブラン
 コーヒー又は紅茶 マカロンショコラ
 
 このメニューには飲み物が記されていなかった。官邸の儀典(プロトコール)ルールとして、主賓がアルコールを飲まない時は、記載しないことになっているからだ。フィリピン側は事前に大統領がアルコールは嗜まないことを伝え、日本側も了承した。しかし記されてはいないが、他の出席者にはフランスのワインが出された。
 それは白がピュリニー・モンラッシェ クロ・ド・ラ・ムシェール2007年、赤がシャトー・パルメール2002年である。
 夕食会の冒頭、大統領はジュース、野田首相以下の参加者は白ワインで乾杯した。
 フレンチをベースに季節感ある日本の食材を取り入れていて、隅々まで神経の行きとどいた料理であることが窺われる。夕食とあってシャーベット状の氷菓子のグラニテが箸休めで出された。
 白ワインはブルゴーニュ地方ヴォルネー村で最も古いワイナリーの1つ、ジャン・ボワイヨ・エ・フィスが造り手。等級は二番手となる1級だ。赤ワインはボルドー地方マルゴー地区で、1855年の格付けで3級とされているが、現在は2級、もしくは1級の力があるとされている。料理、ワインを概観すると、相当にレベルの高いもてなしであることがわかる。

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