イエメンのサレハ大統領は10月8日、国営テレビを通じて演説を行ない、「私は権力を欲していないし、来る数日以内に権力を放棄する」と述べ、辞任を表明した。

 しかし、国内の反政府勢力は、同大統領による辞任発言が今回で4度目となるだけに、いつもの時間稼ぎに過ぎないと受け止めている。

 野党の共通フォーラムの指導者ムハンマド・サブリは、「サレハ大統領の演説は偽情報を流したに過ぎない。サレハ大統領が真剣ならば、何故、イエメン国民が求めているように、今晩権力の座から降りないのか」とコメントし、一刻も早い辞任を迫った。

 また、10月7日にノーベル平和賞の受賞が決まったイエメンの反政府派の女性活動家タワックル・カルマン女史は、「サレハ大統領の今般のテレビ演説は信用できないので抗議運動は続く。我々はこの人物を信用していない。辞任したいのならいいだろう。それは彼次第である」と突き放し、「サレハ大統領は権力を移譲し、盗み取った権力を革命派の人々に返さねばならない。我々は平和的な革命を続ける」と語った。

 サレハ大統領の辞任発言が反政府派の批判を受けるなか、アブドゥ・アル・ジャナディ情報副大臣は、「サレハ大統領は辞任の計画が約束されたものであるのを示そうとしたのだろう。しかし、我々が合意に達し調印するまで辞任や権力移譲に関する計画は存在しない。そうなればイエメンを混乱、最悪時には内戦に引きずり込むことになってしまう。サレハ大統領は数日後に権力を手放す準備は出来ている。しかし、それが数日後や数週間後に実現するか否かは、取引交渉が成功するのか否かにかかっている」と述べ、大統領の辞任は交渉次第との見方を示した。

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