懸念されるカダフィ軍によるゲリラ攻撃

執筆者:畑中美樹2011年10月20日

 欧米のリスク管理専門企業が今後のリビア情勢について気になる見方を提示している。仮に、カダフィ軍が最後まで立て籠もっていたシルトなどから駆逐された場合、南部の砂漠地帯であるフェッザン地方で政治家や外国人労働者、石油施設を狙った「ヒット&ラン」のゲリラ攻撃を仕掛けてくる可能性があるとの指摘である。

 例えば、エクスクルーシブ・アナリシス社のフィラス・アビ・アリ・中東北アフリカ予測副部長は「カダフィ大佐の支持者たちは国民の支持を欠いているので、反政府武装闘争を展開することはできまい。しかし、外国人や国民評議会の指導者たちに対する爆弾・暗殺キャンペーンを行なう技術力は持っている」(ロイター通信 2011年10月18日)と述べ、要人などを標的とするゲリラ戦を仕掛けてくる可能性を警告する。

 リビアはイタリア植民地時代にゲリラ戦術が駆使された歴史を持つ。仮に、同様の戦術が繰り返されることにでもなれば、復旧・復興に不可欠な外国人労働者や外国人技術者のリビア復帰を遅らせることになるだけに国民評議会にとっても避けたいところである。特に、それぞれが労働組合を抱え社員や従業員の身の安全には気を配らねばならない欧米日の石油をはじめとする各種企業や航空会社にとっては、頭の痛い問題となりかねない。

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