会議は踊るが……(メルケル独首相=左=とサルコジ仏大統領)(c)AFP=時事
会議は踊るが……(メルケル独首相=左=とサルコジ仏大統領)(c)AFP=時事

 欧州債務危機がじわりアジア景気をむしばみ、タイの大洪水が震災に次ぐサプライチェーン(部品供給網)危機をもたらす。米国がなけなしの金融追加緩和を模索することによるドル安は、粘着的な円高の長期化を招く。政府・日銀が描いた景気回復見通しは水浸しとなっている。  月例経済報告における政府の景気判断にメディアは一喜一憂する。なのに、とても重要な付属資料はほとんど注目されず、新聞に取り上げられることも滅多にない。 「月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料」と題するその資料集を、この10月に政府は大きく組み替えた。  中身の配列のトップに「世界経済」を持ってきたのだ。9月までは「生産」「輸出」「消費」などと何の変哲もない順番で並べていたのに、10月は14ある項目の先頭に、この資料としては初めて「世界経済」を配した。いうまでもなく、日本を取り巻く世界経済に暗雲が垂れ込めているからだ。

バランスシートが示す欧州危機の深まり

 では政府がどこに身構えているかというと、欧州であり、米国である。さりげなく示されている図表やグラフは、少し想像力を働かせてみれば、「地獄篇」にほかならない。例えば、「持ち直しのテンポが緩やかに」などという微温的な表題を付けた欧州各国の実質国内総生産(GDP)。

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