イラク撤退後の米軍ペルシア湾岸展開の行方

執筆者:池内恵2011年10月30日

 こんな記事が目についた。「ニューヨーク・タイムズ」10月29日付の「米国はイラク撤退後の湾岸の兵力強化を計画中」

http://www.nytimes.com/2011/10/30/world/middleeast/united-states-plans-post-iraq-troop-increase-in-persian-gulf.html?nl=todaysheadlines&emc=tha2

 10月21日にはオバマ大統領が、年末までにイラク駐留米軍を完全撤退させると表明している。財政難と、来年の大統領選挙を控えた米国の内政的事情が、ペルシア湾岸の勢力バランスにどのような影響を与えるかが注視されている。

 この報道によれば、第一に、クウェートに戦闘部隊を新たに配備する計画が進んでいるとのこと。これは米軍撤退後のイラクの治安崩壊や、影響力を強めるイランといった直接の脅威に備えるためだ。1991年の湾岸戦争から2003年のイラク戦争までは、クウェートにはイラク情勢の変化に即時に対応できるように前方展開基地が設立されていたが、イラク侵攻・占領後はクウェートが「後衛」になっていた。イラクからの米軍撤退で、また再び90年代の状況に戻るとも言える。

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