ラテンアメリカはヨーロッパを相手にしない?

執筆者:遅野井茂雄2011年11月4日

 10月28日、29日、パラグアイの首都アスンシオンで第21回イベロアメリカ首脳会議が開催された。冷戦終結直後、スペインのイニシアティブでイベリア半島のポルトガルとともに、宗主国と植民地の中南米諸国が文化歴史的な絆をよりどころにして、協力関係の強化を目指して開催してから20年目に当たる節目の首脳会議であった。

 スペインは中南米諸国の民営化を通じて、通信、金融、エネルギー分野において資本参入を強めるとともに、サミットを軸に冷戦後の世界で文化的紐帯を共有する中南米への影響力を行使し、EUと中南米の戦略的連携の推進において主導権を握ってきた。他方、中南米諸国はアメリカとの関係でバランスをとるためにも、キューバを含め独自のグローバルな交渉力の強化が必要であった。

 ところが今回22カ国のうち首脳の出席は、11カ国と半数にとどまった。とくにパラグアイとメルコスル(南米南部共同市場)を形成する隣国ブラジル、アルゼンチンとウルグアイの大統領が欠席したのをはじめ、コロンビア、キューバ、ベネズエラなど主要国の大統領が欠席した。欧州危機への対応が主要議題となるG20首脳会議開催を前に開かれたサミットで、G20 の域内メンバー3カ国のうちブラジル、アルゼンチンの首脳が欠席した意味は大きかった。

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