大阪市長選で相まみえる平松市長と橋下氏 (C)時事
大阪市長選で相まみえる平松市長と橋下氏 (C)時事

 橋下徹・大阪府知事が市長選への鞍替え出馬を表明し、10月31日に正式に辞職。11月27日のダブル選挙に向け、選挙モードに突入した。ただ、市長選は橋下氏vs.現職の平松邦夫市長でほぼ確定したものの、知事選の方は、民主党や自民党の思惑も入り乱れ、まだ構図は混沌とした状態が続いている。  そうした状況下、橋下徹・大阪維新の会代表に対するバッシングが急速に強まっている。  実父の出自、親族の不祥事など、「橋下ネタ」が一斉に週刊誌上で噴出。橋下氏自身は「ほぼ事実」と認めつつ、「(自分の)子供は、事実を初めて知った」「公人に人間の権利は一切ないのか」とツイッターで心情を吐露した。  もちろん、こうした話は、選挙戦にはつきもの。だが、これらは、いずれも古い話だ。橋下氏はこれが最初の選挙戦ではなく、緒戦の知事選のほか、今春の統一地方選でも陣頭に立った。それが、今になって一斉に報じられているのは、いささか奇異に感じられる。

「大阪市」と「関西電力」の関係

 激しい情報戦が繰り広げられるのは、橋下氏の施策に危機感を持ち、今回の選挙で、橋下氏を何が何でも落としたい人たちが存在し、彼らが全力をあげていることとも関係があるかもしれない。
 橋下氏の反対勢力とは、具体的には、「府庁、市役所、教員をはじめとする労働組合、そして関西電力が『反橋下』のスクラムを組んでいる状態」(大阪府議会関係者)という。役所の職員や公立学校教員らは、法律上、政治活動を禁止されるが、民間企業の関電には何の制約もないから、「とりわけ関電が加わっていることは大きい」(同上)。
 関電は、なぜ橋下氏を落選させたいか。関西以外の人にはあまり知られていないかもしれないが、大阪市は、関電株の約9%を保有する筆頭株主で、橋下氏が「脱原発」姿勢を鮮明にしているためだ。
 現市長である平松邦夫氏も一時「脱原発」を口にしたことがあるが、平松氏の場合は、あくまで穏健路線。この6月の株主総会でも、他の株主から提案された「原発からの撤退を求める議案」には、むしろ反対の立場をとった。
 これに対し、橋下氏は、仮に大阪市長になれば、おそらく口先だけでは終わらない。一般株主らにも呼び掛け、原発を巡り、経営陣との全面対決になることが必至だ。だからこそ、関電は、今回の市長選で、本気の戦闘モードに入ったわけだ。

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