流行語から見た韓国の失業問題

執筆者:平井久志2011年11月15日

 朝鮮半島の「専門家の部屋」は堅い話が多いと反省し、少し柔らかい話題で韓国の状況を語りたいと思います。

「流行語」は世相を反映します。韓国では「失業」に関する流行語がなかなか豊富で、身につまされるものも少なくありません。

 韓国語では、失業者を「ペクス」と言います。もちろん「失業者(シロプチャ)」という漢字語をそのまま韓国語読みしたりもしますが、普通の会話などでは失業者を「ペクス」ということが多いようです。ペクスの漢字表記は「白手」ではないかと思われます。白い手がなぜ失業者なのかという気もしますが、仕事をして手を汚すことのできない者とでもいう意味が語源かも知れません。

 韓国では1997年末からアジア経済危機に襲われ、大量の失業者が生まれました。韓国は破産状況に陥り、国際通貨基金(IMF)の管理下に置かれました。このために韓国では97年の経済危機を「アジア経済危機」とは言わず「IMF危機」と呼んでいます。

 この時は金泳三政権の末期で、IMF危機と大統領選挙という政権移行期の激動が一緒にやってきました。当時、ソウルで生活していて、国の経済破綻というのはこんな風になるのだということを本当に肌に感じました。企業がバタバタと倒産し、ウォンも株も暴落し、企業は相次いで首切りを行ないました。家族や親族のつながりの強い韓国ではそれまでホームレスなどはいなかったのに、このIMF危機以降、駅や公園にホームレスが登場し、みるみるうちにその数が増えました。

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