平成16年の「防衛計画の大綱」以来「宿題」となってきたF4ファントムに代わる新戦闘機の機種選定が、大詰めを迎えている。対象機種は、事実上、米国のF35と欧州のユーロ・ファイターに絞られてきた。

 機種選定には、要求性能、整備性、コストといった数値化可能な指標が用いられる。これには、「政治の介入」を排除する意味がある。だが、戦闘機は防衛戦略の象徴であり、戦略的配慮と無縁ではない。かつてのロッキード事件とは別の意味で、戦略を主導する「政治の意思」が必要となる。防衛産業の育成、米軍との相互運用性(インター・オペラビリティー)といった要素も、性能と価格以外の戦略的配慮に属する。

 今回は、F35の「ブラック・ボックスは多いが高度なステルス性」と、ユーロ・ファイターの「全面的な技術開示による日本国内生産」の選択とも言われている。だが、戦略上重要な論点は、他にある。

 第1に、F4が規定の総飛行時間に達し、寿命を迎えていることだ。

 防衛省は、戦闘機の総数を維持すべく、F4をできるだけ飛ばさずに「延命」を図っているが、そうした「架空の」防空態勢は、もはや限界にきている。それを解消するには、開発が遅れているF35ではなく、実戦配備されているユーロ・ファイターを選ぶしかない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。