12月4日の下院選、来年3月4日の大統領選を控えたロシアは政治の季節に入ったが、与党・統一ロシアの支持率は40%台に下落、前回のような3分の2の安定多数確保は困難な情勢だ。長期化するプーチン体制下で停滞感が広がり、実際の支持率はさらに低いとの見方もある。

 政権側は下院選で圧勝し、その勢いでプーチン氏の大統領返り咲きを確実にしたい意向だ。そのためには、バラマキ政策が有効とみなし、教師や医者、軍人、警官らへの給与大盤振る舞いを公約している。

 11月17日にプーチン首相が主宰した閣議には驚かされた。新任のシルアノフ財務相は、「軍人や警官の給与を来年1月から2.5-3倍引き上げる。連邦保安局(FSB)要員の給与も来年1月から同規模引き上げる」と述べ、今後2年間で給与増に3兆ルーブル(約9兆円)を追加拠出すると報告した。ロシア公務員の給与は全般に安いものの、異例の大昇給である。

 プーチン首相は国防調達費の増額も発表。「今年の軍による兵器調達費が前年比50%増の7500億ルーブル(2兆2500億円)に達し、来年は8800億ルーブル(2兆6400億円)にする」と述べた。

「暴力装置」への大盤振る舞いは、軍、警察、情報機関が与党の大票田であり、組織票を固める狙いがある。地方都市は軍需産業中心の企業城下町が多く、軍需産業への大規模投資で地方票を得ることも狙っているようだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。