日本訪問が事実上の新婚旅行に(c)AFP=時事
日本訪問が事実上の新婚旅行に(c)AFP=時事

 近年、来日した国賓でブータンのワンチュク国王(31)とジェツン・ペマ王妃(21)ほど注目されたカップルはいないだろう。両国の外交関係樹立25周年という節目で、国王と王妃は1カ月前に結婚したばかり。11月15日から20日まで日本に滞在し、ブータン旋風を巻き起こした。  来日した翌16日、皇居・宮殿前の東庭で歓迎行事が行なわれ、気管支炎で入院中の天皇陛下に代わり、皇太子さまが国王夫妻を迎えた。皇后さまは歓迎行事に出席せず、東京・元赤坂の迎賓館赤坂離宮を訪れて国王夫妻にあいさつした。  その夜、野田佳彦首相夫妻をはじめ、ブータンで農業を指導し、同国最高峰の称号「ダショー」を贈られた故西岡京治さんの妻・里子さん(75)ら同国ゆかりの約150人が出席して宮中晩餐会が開かれた。

ルール通りの最高のもてなし

 皇太子さまが天皇陛下のあいさつを代読。「前国王が提唱された『国民総幸福量』は、貴国の国家運営の指針となり、伝統的な社会や文化、自然環境の保護に十分注意を払った国づくりがすすめられています。我が国においても学ぶところは大きいと受け止められています」と述べた。続いて宮内庁式部職楽部によってブータン国歌が演奏され、乾杯が行なわれた。
 次にワンチュク国王が答礼スピーチで「私は常々、日本国民とブータン国民は言葉で説明できない、非常に深淵なものを共有していると信じております。3月に日本に対する支援がほとばしるように集まり、人々が寺院や僧院で地震と津波の被害にあった日本の方々のために祈りを捧げるのを見た際にも、私はそれを感じました」と述べた。君が代が演奏され、国王の「タシ・デレ(乾杯)」の発声で全員が杯を挙げた。

清羹     海燕の巣
       浅葱
甘鯛洋酒蒸  車海老湯煮
        マッシュポテト牛酪焼 
       ソースシャンパン
羊腿肉蒸焼  クレソン  
       温野菜添 
       人参・パールオニヨン 
       芽甘藍・占地茸・エリンギ 
       ソースジュードムトン
サラダ    トマト
        レタス
       デトロイト
       花椰菜 
       フレンチドレッシング
凍菓     富士山型アイスクリーム 
       フィンガービスケット
果物     メロン
       苺
シャブリ・グラン・クリュ ヴォデジール97年
シャトー・ラフィット・ロートシルト89年
シャンパン ドン・ペリニヨン96年
 国賓に対しては国の大小を問わず最高のもてなしで迎える、という皇室のルール通り、フランスのシャブリ地方の白、ボルドー地方の赤と、最高格付けのワインである。
 メニューはフランス料理だが、宮中では2008年から料理を1品減らして3品にした。それまではスープの後に、魚介類、肉類のいずれかを2品出していたが、魚介類、肉類を各1品にした。今回はアマダイと羊である。
 ヘルシー志向で饗宴料理が軽めになり、テーブルについている時間も短くなっている世界の趨勢に合わせたもので、食事時間もそれまでの2時間近くから1時間半弱になった。今回は食事前のレセプションなどを含め2時間半だった。

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