文化外交専門機関「フランス院」の試み

執筆者:渡邊啓貴2011年12月26日

 文化大国フランスは新たにその文化外交を強化しようとしている。12月13-14日筆者は、新たにフランス文化外交の中心機関となった「フランス院」が企画した、パリでのシンポジウム『文化外交』にパネリストとして参加した。それまでフランスの文化活動の中心となっていた文化省の機関である「カルチャー・フランス」と外務省の対外広報・文化活動部門とが今年初めに統合されたのが、この「フランス院」という機関である。その代表は昨年まで国民教育大臣をしていた保守派の大物閣僚経験者ダルコス。その公的地位は、カルチャー・フランスが1901年法(アソシエーション=協会・団体=法)による公団・公共団体であるのに対して、この新しい機関「フランス院」は産業・通商活動組織としての対応も可能な公共機関(EPIC)である。国家予算と同時に、民間からの資金供給も容易な機関としての地位を得られているのが特徴である。140の海外文化機関を束ね、世界で445校を擁するアリアンス・フランセーズ(公的には民間団体であるが、政府と密な関係を持つフランス語教育機関)とも提携し、5000人ものアーティスト、役者、文化専門家と組んで海外で年間5万件もの文化行事を組織する。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。