政権交代は日本の政治に何をもたらしたのか(c)AFP=時事
政権交代は日本の政治に何をもたらしたのか(c)AFP=時事

 野田佳彦内閣が発足してから4カ月が経とうとしている。年明けから通常国会が始まり、2012年度予算と関連法案の審議に入る。いよいよ本格的な与野党の激突である。だが、政権の足取りは、あいかわらず心許ない。北朝鮮の金正日総書記死去発表後の混乱ぶりからは、閣僚の自覚の欠如がうかがえる。国会審議でも、与野党協議の進む気配が感じ取れない。民主党政権はもう風前の灯火のようである。  しかし、別の見方もできる。2009年の政権交代以来、鳩山由紀夫・菅直人と、野党時代の代表経験者が続いて首相になった。「宇宙人」と評され発言の真意を読み取れない鳩山、官僚を怒鳴り散らしマスコミ向けには奇策に走る菅は、首相としての資質を身につけられない万年野党の指導者といわざるをえなかった。彼らが登場する必然性があったとすれば、何はともあれ自民党の政治スタイルを全面的に破棄するという意思を前面に押し出したことである。その代償が、菅首相の辞任表明から退陣までの3カ月に象徴される政策の停滞である。  だが、ここへきて、ようやく民主党政権下で財務副大臣・財務大臣の経験を積んだ議員が首相に就任した。長期の忍耐を強いられる野党経験と政権交代後の閣僚経験とをともに積んだ首相の出現である。これは池田勇人以後の自民党時代をふりかえっても、三木武夫、中曽根康弘以来登場しなかったタイプの首相といえるであろう。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。