分水嶺となるサウスカロライナ州予備選挙

執筆者:足立正彦2012年1月17日

 ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事がアイオワ州党員集会、ニューハンプシャー州予備選挙で連勝して勢いをつける中、今月21日に南部初の予備選挙となるサウスカロライナ州予備選挙が行なわれる。サウスカロライナ州予備選挙は序盤州で勝利を重ねた候補の勢いを止めるための「ファイアーウォール」として1980年に導入された。1980年のロナルド・レーガン元カリフォルニア州知事から前回2008年のジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州)に至るまで、同州予備選挙で勝利した5人の候補はすべて共和党大統領候補の指名を獲得しており、共和党大統領候補選出プロセスの中で重要な役割を果たしてきた。

 サウスカロライナ州予備選挙は、共和党の党員集会・予備選挙の中ではアイオワ州党員集会に次いで全米で2番目に白人の福音派キリスト教徒(エヴァンジェリカル)の参加者が多いことでも知られている。4年前の2008年サウスカロライナ州予備選挙では白人の福音派キリスト教が参加者全体の約55%を占めていた(2008年アイオワ州党員集会のその割合は約60%)。その観点からも、序盤州で連勝したロムニーの勢いを保守派候補が止めることができるのか、あるいは、ロムニーが3連勝して共和党大統領候補指名獲得に事実上王手をかけることになるのかが非常に注目される。サウスカロライナ州は予備選挙で勝利したすべての候補が共和党大統領候補指名を獲得しているという現実的選択を行なっているのと同時に、キリスト教右派勢力の影響力が強いのが特徴である。

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