本格始動したオバマ再選キャンペーン

執筆者:足立正彦2012年3月19日

 今月15日、ジョセフ・バイデン副大統領は「接戦州」の1つである中西部のオハイオ州で演説して「オバマ・バイデン」再選キャンペーンを本格的に始動させた。オハイオ州の北西部に位置する工業都市トレドで行なわれた全米自動車労働組合(UAW)の政治集会で演説したバイデンは、ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事ら共和党大統領候補は中間層を置き去りにした無責任な資本主義を擁護する勢力であると厳しく批判する内容の演説を行なった。他方、オバマ政権には中間層を支援して米国経済を復活させようとするコミットメントがあり、最終的には中間層支援を巡り今秋の大統領選挙キャンペーンは争われることになるとの見方をバイデンは明らかにした。

 オバマ再選本部は前回2008年大統領選挙に続き今回もイリノイ州シカゴに設置されたが、再選キャンペーンを指揮するジム・メシーナ選対本部長は、バイデンが開始した一連の遊説の中で焦点が当てられる争点が2012年大統領本選挙キャンペーンを定義することになるとの見解を示しており、バイデンのオハイオ州トレドにおける演説を実質的なオバマ再選キャンペーンの開始として位置付けている。

 バイデンは中西部のペンシルベニア州スクラントンで生まれ育ち、ブルーカラーの出身である。2008年大統領選挙キャンペーンでも民主党副大統領候補としてオバマが十分に支持を固めきれていないとされた中西部工業州のブルーカラー有権者の支持を獲得するために同地域で精力的に選挙キャンペーンを展開し、中西部のすべての州で勝利することで民主党政権の誕生に尽力している。そのバイデンの中西部オハイオ州での遊説開始は、ホワイトハウスも事実上再選キャンペーン・モードに突入したことを意味している。

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