米国が対エジプト軍事援助を再開

執筆者:池内恵2012年3月24日

 米国政府が3月23日、昨年暮れから一時凍結されていたエジプトへの軍事・経済援助の再開を決めた。

http://news.yahoo.com/u-approves-egypt-military-aid-despite-rights-fears-164601981.html

 米国が1979年のエジプト・イスラエル平和条約締結以後にエジプトへ供与してきた軍事・経済援助は総額で400億ドルに上るとされ、近年は毎年およそ13億ドルの軍事援助と、2億5000万ドルの経済援助が供与される慣例になっている。エジプトの年間の軍事費支出は45億6000万ドルとされるが(2010年度)、そのうち25%程度を米国からの援助に依存していることになる。

 エジプト軍にとっては米国からの援助は「既得権」化し、依存の度合いも高い。米国が「エジプト軍の財布」を根本で押さえていることは、エジプトの内政への米国の影響力の経路となっている。反政府抗議行動に対して軍がそれほど強硬な弾圧を行わなかったのも、米国との密接な関係から抑制が働いたという要素が関係しているかもしれない。米国との関係に依存するエジプト軍の存在は、ムバーラク政権が崩壊しても、外交・軍事的にはそれほど大きな変化が起きないであろうとの予想が成り立つ大きな根拠だった。

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