7年近くにわたって膠着状態となっている韓国・ポスコによるインド東部・オリッサ州での巨大一貫製鉄所建設計画が、ようやく動き出しそうな気配だ。このプロジェクトは、2005年6月、ポスコと州政府がプロジェクトの覚書(MOU)に調印して以来、地元住民や環境団体、人権活動家、左翼政党などの激しい反対に遭い、今なお着工すらできていない。しかし、同国の有力通信社PTIによると、州政府は11年6月以来凍結していた土地収用を4月から再開、ポスコに対し今年6月までに1080万平方メートルの用地を提供するといい、同社は7月にも工事に着手する、としている。これがどの程度利害関係者に根回し済みなのかは判然としないが、折しもマンモハン・シン首相が25日から韓国を公式訪問した「絶妙の」タイミング。報道の期日や数字が具体的なだけに確度はそう低くはないと思われる。


ポスコが計画している製鉄所はオリッサ州のベンガル湾沿い、ジャガットシンプルに建設する予定で、最終的な生産能力は年産1200万トン。専用港などを含む敷地総面積は約1620万平方メートルと、新日鉄の八幡・戸畑地区合計よりも一回り大きい規模だ。総工費は5200億ルピー(MOU調印当時のレートで約1兆3000億円)と見込まれる、インドでは史上空前のFDI(海外直接投資)案件となるはずだった。

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