野党優位の予想覆し「大接戦」の韓国総選挙

執筆者:平井久志2012年4月6日

 北朝鮮の「衛星」打ち上げや権力継承の陰に隠れているが、4月11日投開票の韓国の総選挙が近づいてきた。

 2月15日にレポートした「『ありえない連続スキャンダル』『再編』に揺れる韓国政界」段階では野党優位の情勢だったが、韓国政治はやはり予断を許さない。結論を先に言えば、野党優位の構造が崩れ、与党のセヌリ党と野党の民主統合党のどちらが第1党になるか分からないような大接戦になっている。

米韓FTAと海軍基地建設問題

 先のレポート後に、与野党間で争点になったのは米韓自由貿易協定(FTA)問題だった。民主統合党の韓明淑(ハン・ミョンスク)代表は2月15日に記者会見し、李明博(イ・ミョンバク)政権の米韓FTAに対する外交姿勢を「屈辱的」と批判し「総選挙で勝利すれば再交渉と全面再検討を求め、できなければ廃棄するしかない」と主張した。これに対して、与党側は米韓FTAは本来、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に締結交渉を始めたものであると批判した。朴槿恵(パク・クネ)セヌリ党非常対策委員長は「米韓FTAを破棄しようとする人々に国は任せられない」と野党側を糾弾した。

 さらに、済州島での海軍基地建設問題が争点として浮上。これも盧武鉉政権時代に始まった問題だが、民主統合党が反対しているために与野党の争点となった。

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