打つ手なしの北朝鮮問題と米国一極支配の行方

執筆者:会田弘継2012年4月19日

 衛星とは名ばかり。口さがない欧米のメディアからは「アルミホイル包みの皿洗い機」などとからかわれた。「衛星打ち上げ」と称した北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射実験のことだ。外国人記者団を招き入れ、管制センターまで公開し、鳴り物入りだった。
 建国の父、金日成主席の生誕百年と同時に、その孫、金正恩氏の権力継承を祝うはずの打ち上げだった。それが見事なまでの失敗だ。失笑してしまう。13日の金曜だったのをお忘れか。共産主義の無神論国家だからやむを得まい。でも、金日成主席の誕生日がタイタニック号沈没の日だったのは、間が悪かった。そんな日に派手な花火は禁物だ――。
 などと、冗談めかしている場合ではない。これまでの経緯を振り返れば、長距離ミサイル実験失敗の後は核実験だ。2006年も、2009年もそうだった。それを抑える手はあるのか。「もはや打つ手はほとんどない」。ミサイル発射前から米「ニューヨーク・タイムズ」紙はそう分析していた。 【Few U.S. Options as North Korea Readies Missile Launching, The New York Times, April 11】

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