フランス大統領選の第1回投票を間近に控え、情勢に異変が生じている。サルコジ政権の元メンバーや右派の間で、社会党のオランド氏支持に回る動きが次々と顕在化しているのである。サルコジ陣営の統制が乱れ、浮足立っているのは明らかだ。少なくとも現時点で、流れはオランド氏に大きく傾きつつあると言えそうだ。

 このような動きが表面化したのは、今週に入ってからである。それ以前はむしろ、当初劣勢だったサルコジ氏が追い上げ、一部の世論調査で逆転したところもあったほどだった。

 流れを変えたきっかけは、サルコジ政権の初期に貧困問題担当の高等弁務官として入閣したマルタン・イルシュ氏だった。イルシュ氏はもともと、人道意識の強い高級官僚で、現社会党党首のオブリ氏のスタッフを務めたこともあった。2007年、サルコジ大統領の就任とフィヨン内閣の誕生とともに請われて政権に入り、低所得者の支援策などに取り組んだが、2010年に政権を離れていた。

 イルシュ氏は16日、ルモンド紙のインタビューで、1年ほど前から青少年政策やボランティア活動に関する政策についてオランド氏から助言を求められていたことを明らかにし、大統領選でもオランド氏に投票する意思を表明した。「この選択に対していかなる見返りも期待していない」とも述べ、両候補を天秤にかけたうえでの選択ではないと強調した。

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