4月13日朝、北朝鮮は「衛星」と称するミサイル発射を強行した。メディアや韓国政府は、発射数分後に「ミサイルの発射」を公表したが、日本政府が「何らかの飛翔体の発射」について公表したのは40分後だった。本物のミサイルなら、すでに日本に着弾している。何故こんな失敗が起きてしまったのか。

 私は、2006年7月と2009年4月との2回にわたり、首相官邸の危機管理担当として、北朝鮮のミサイル発射に対応した。その立場から、「今回の失敗の本質」を指摘しなければならないと考えている。危機管理に完全はない。私が関わった過去のミサイル発射への対応も完全ではなかったと思う。過去の失敗の教訓は、絶えず検証され、将来に生かされなければならない。

 ミサイル発射時の熱源を探知して警報が発せられる米軍の早期警戒情報からは、厳密に言えば、その段階では何の熱源かも、着弾予測地点がどこかも分からない。2006年の対応では、ミサイルが日本に向かうものではなかったこともあり、イージス艦等のより正確な探知をもとに、発射情報を公表する手順を考えた結果、公表までに約3時間かかってしまった。特に、「テポドン・ミサイル」は発射直後に爆発したと見られ、わが国のセンサーで捉える事ができなかった。

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