崔龍海・軍総政治局長の「現地了解」

執筆者:平井久志2012年5月6日

 4月11日に開催された朝鮮労働党第4回代表者会では、崔龍海(チェ・リョンヘ)氏が政治局員候補から政治局員を飛び越え政治局常務委員に大躍進し、同時に軍人としては次帥になり軍総政治局長に就任した。

 北朝鮮では「現地指導」という言葉は最高指導者にしか使われない。金日成(キム・イルソン)主席、金正日(キム・ジョンイル)総書記が工場などを訪問し、直接指示などをする際の特別な用語だ。

 金正恩(キム・ジョンウン)氏が後継者として最高指導者になり、党機関紙「労働新聞」、朝鮮中央テレビ、朝鮮中央通信などの北朝鮮メディアは金正恩氏の工場視察などを「現地指導」として報じ始めた。

 金正日総書記の晩年から、崔永林(チェ・ヨンリム)首相の経済関連視察が単独で北朝鮮メディアで報じられ、これは「総理了解」とネーミングされている。首相が経済関連施設などを訪問し、関係者から説明を受け、協議し、指示を出し、その事業内容を「了解」したという報道だ。

 これまで北朝鮮幹部の視察が単独で報じられるのは崔永林首相の「総理了解」だけであった。

 ところが、朝鮮中央通信は4月25日に「朝鮮人民軍総政治局長、金亨稷師範大学の改築・補修工事場を現地了解」と崔龍海軍総政治局長の視察を「現地了解」として単独で報じた。同通信は「総政治局長は、祖国の守護者であるばかりか、人民の幸福の創造者としての人民軍の栄えある使命を果たすのが金正恩最高司令官の崇高な志を支えていく道だと述べ、教育逸材の養成の殿堂を遜色なく改築・補修して、最高司令官に勝利の報告をしようと呼びかけた」と報じた。

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