インテリジェンス音痴を露呈した中国スパイ騒ぎ
2012年5月31日
「警視庁公安部が日本国内で諜報活動をしていたとみている」(読売新聞)と伝えられた在日中国大使館の李春光1等書記官。読売新聞のスクープを受けて日本の大手紙は1面トップなどで派手に彼の活動ぶりを伝えた。
しかし、これまでに確認された彼の行動は、記事の大きさと比較して、あまりにも支離滅裂だ。
最も滑稽なのは、外国人登録証明書を不正に使って銀行口座を開設したこと。
身分をひそかに隠す高等なスパイなら、まずこんなお粗末な外国人登録法違反行為はやらない。
李書記官が、報道のように中国人民解放軍参謀2部所属のスパイで、外交官ビザを持っていれば、「外交官カバー」の諜報員ということになる。つまり外交官になりすました軍所属のスパイだ。
スパイは通常、①外交官②軍人③民間人―に化ける。このうち①は最もばれやすい。①が勤務するオフィスは大使館であり、常に公安警察等に監視されやすいからだ。逆に最も機密度の高いスパイは③だ。民間の企業・団体等に潜り込むため動向がつかみにくい。
しかるに李1等書記官はなぜ外国人登録証を更新したのか。恐らく個人的な銀行口座を開設するためだったとみられている。その口座には、中国に進出しようとしていた日本の企業から毎月顧問料や報酬が振り込まれていたという。
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